投稿日:2025.11.4
矯正ワイヤーが舌に当たって痛い 原因とすぐできる応急処置【矯正用ワックスの使い方】
皆様こんにちは!
東京八重洲キュア矯正歯科です。
今回は【矯正ワイヤーが舌に当たって痛い 原因とすぐできる応急処置【矯正用ワックスの使い方】】についてお話しさせていただきます。

ワイヤー矯正をする方の多くは、治療中一度は「装置が口の中に当たって痛い」という経験をされたことがあるのではないでしょうか。
実際に、治療中の患者様から「ワイヤーが舌に当たって痛いのですが、どうすればいいですか?」というご質問をいただくことが多々ありますが、当院では「可能であればご来院いただきすぐに来院するのが難しい場合はまず矯正用ワックスで応急処置を」とお伝えしております。
ただ、突然の痛みにはどう対応すればいいのか、不安になる方も多いはずです。そこで今回は、ワイヤーが舌や頬に当たって痛むときに、ご自身でできる応急処置の方法と、歯科医院を受診する目安について詳しくご紹介します。
なぜワイヤーが舌や頬に当たって痛くなるのか
ワイヤー矯正中に装置が粘膜に当たって痛みが生じるのには、いくつかの理由があります。まずは、その主な原因と、痛みが続くことで起こりやすいトラブルについて見ていきましょう。
よくある原因
歯の移動によるワイヤーの突出
歯が動くと、ワイヤーの端が飛び出して頬や舌に当たることがあります。
特に治療初期や調整直後に起こりやすく、治療が順調に進んでいる証拠ともいえますが痛みの原因にもなりやすいケースです。
装置の調整や変化
ブラケットの位置調整や、ワイヤーを固定する細い結紮線(けっさつせん)の端が外に向くことで、粘膜に痛みを引き起こすことがあります。
スプリング・チューブ周辺の突起
スプリングや奥歯のチューブなど、補助的なパーツが粘膜に当たることが原因で痛みが出るケースもあります。
口内のコンディションの変化
痛みが続くと起こりやすいこと
ワイヤーが当たり続けると、粘膜が傷ついて口内炎や潰瘍ができやすくなります。
炎症がひどくなると、食事や会話がつらくなったり、歯磨きが不十分になって虫歯・歯周病のリスクも高くなったりします。
痛みを感じたら我慢せず、早めに対応することが大切です。
受診すべきタイミングの目安
以下のような症状が見られる場合は、応急処置の有無にかかわらず早めに歯科医院へ連絡しましょう。
出血を伴う、または強い痛みが続く場合ワイヤーが粘膜に刺さって出血している、何をしても痛みが取れない、飲食や睡眠に支障が出る場合はすぐにご相談ください。
ワイヤーが完全に外れたり、大きく変形したりしている場合
ブラケットから抜けた、折れた・大きく曲がったなど明らかな異常があると、矯正に支障が出るだけでなくケガの原因にもなります。
1週間以上症状が改善しない、悪化する場合
応急処置をしても良くならない、口内炎が悪化しているなどの場合は、別の対応が必要な可能性があります。
お子様が痛みを訴え続け、登校や食事に影響が出ている場合
食欲がない、登校を嫌がるなど、日常生活に支障がある場合は早めに受診してください。
迷ったときは…
痛みのある箇所をスマホで撮影し、お電話またはメッセージでお送りいただければ、当日もしくは近日中の受診案内が可能です。
自宅でできる応急処置
歯科医院へすぐに行けない場合でも、ご自身で痛みを和らげる方法があります。最も効果的なのが「矯正用ワックス」の使用です。
矯正用ワックスの正しい使い方

矯正用ワックスは、ワイヤーやブラケットなど、装置の尖った部分や気になる部分を覆い、粘膜への刺激を和らげるための保護材です。
粘土のような素材で、安全な成分で作られています。
1.手を洗う:まずは石鹸で手を清潔にします。
2.装置を乾かす:ワックスを付けたい部分をティッシュなどで軽く拭き、水分を取ります。
3.ワックスを丸める:米粒〜小豆大にちぎり、指先で丸めて柔らかくします。
4.痛い部分に貼る:ワイヤーの先端やブラケットに優しくかぶせるように貼ります。

ワックスは食事や歯磨きで外れやすいため、必要に応じて付け替えてください。
※手元にない場合は、無糖ガムで一時的に代用可能ですが、あくまで応急処置です。
※ワックスは体に害のない成分で作られていますが、心配な場合は表示を確認するか歯科医にご相談ください。
痛みを和らげる補助ケア

ワックスと併せて以下のケアを行うと、痛みの緩和や口内炎の改善に役立つ場合があります。
ぬるま湯でのうがい
コップ1杯のぬるま湯に小さじ半分程度の食塩を溶かしうがいすることで、口内を清潔に保ちやすく炎症の回復を助けます。
刺激の強い食べ物を避ける
痛みが強い数日間は、ナッツや煎餅のような硬い食べ物、香辛料の多い刺激物、熱すぎるものは避け、柔らかく食べやすい食事を心がけましょう。
市販の口内炎治療薬の使用
塗り薬やパッチタイプの市販薬を使うと痛みの緩和に役立ちます。装置に当たらないよう注意してください。
鎮痛剤の服用
痛みがつらい場合は、市販の鎮痛剤を服用するのも一つの方法です。必ず用法用量を守り、持病がある方や常用している薬がある方は事前に医師や薬剤師にご相談ください。
応急処置で改善しても受診が推奨されるケース
ワックスなどで一時的に痛みが落ち着いても、以下のような場合は根本的な対応が必要なことがあります。迷わずご相談ください。
同じ場所が何度も当たって痛くなる
ワックスをつけてもすぐに取れてしまう
調整から数日経っても痛みが強く続いている
これらはワイヤーの位置や装置の調整が必要なサインかもしれません。我慢せず、早めの受診をご検討ください。
絶対に避けたいNG行為
痛みがあるからといって、ご自身で装置を強く触ってしまうのは非常に危険です。以下の行為は絶対に避けてください。
自分でワイヤーを切る・曲げる
爪切りや工具で無理に触ると、粘膜を傷つけたり、装置が壊れたりする恐れがあります。
接着剤などで固定しようとする
外れた装置を市販の瞬間接着剤などで付けようとすると、化学的な刺激で粘膜に炎症が起きたり誤飲や誤った位置での接着につながったりする危険があります。
金属製のピンセットなどで強く触る
金属製の硬い器具で装置を強く触ると、滑って口の中を突いてしまう事故につながりかねません。
ご自身での判断は危険を伴います。
まずはワックスで保護し、なるべくお早めに歯科医院へご連絡ください。
医院での診査・処置の流れ
お話とお口のチェック
(視診・写真撮影)①
まずは、どこがどのように痛むのかをお伺いし、お口の中を確認します。必要に応じて写真撮影を行い、原因を特定します。
ワイヤーや装置の調整②
痛みの原因を特定し、ワイヤーの端をカット・内側に曲げる、結紮線を押し込む、ブラケットの調整などを行います。
応急的な保護とワックスの使用提案③
刺激を受けていた部分には、保護のために数日間ワックスを使っていただくようご案内することもあります。
ご自宅でのケア方法のご説明④
再発予防のため、自宅でできるケアや注意点をご説明します。
所要時間と持ち物について⑤
処置は、多くは10~15分程度です。
ご来院の際は、診察券・保険証・矯正装置の説明書(お持ちの方のみ)をご持参ください。
再発を防ぐためのコツ

調整後の痛みなどを完全に防ぐことは難しいですが、日々の少しの工夫でリスクを軽減することは可能です。
柔らかい食事を選ぶ
調整後数日は、うどんやおかゆなど歯に負担の少ないものを。
寝る前にワックスを使う
就寝中の摩擦を防ぐため、気になる部分に予防的に貼るのがおすすめです。
適切な歯磨き
通常の歯磨きに加え、タフトブラシやインターデンタルブラシ、フロスを使い分け、お口を清潔に保ちながら装置を傷つけないようにケアを続けましょう。
乾燥を防ぐ
水分補給や加湿器の使用、口呼吸をしている場合は鼻呼吸を心がけ、粘膜の乾燥と摩擦を軽減します。
違和感を記録する
不快な箇所や発生タイミングをメモや写真で残しておくと、診療時に役立ちます。
学校での応急セット
急な痛みに備え、矯正用ワックスと清潔なティッシュを小さなケースに入れて持たせておくと安心です。
保護者様へのお願い
長引く痛みや出血があるときは、無理に様子を見ず、早めにご相談ください。また、お子様が気にして装置を無理に触らないよう、優しくお声がけをお願いいたします。
よくある質問(Q&A)
Q1. ワックスは食事中も付けたままで良い?
A. 基本的には外してください。食事中に取れやすいため、食前に外し、食後・歯磨き後に新し
いものを付け直すのがおすすめです。
Q2. ワックスを飲み込んでしまったらどうなりますか?
A. 少量であれば体に害はなく、自然に排出されるとされています。万が一、異変を感じた場合
は速やかに医院へご連絡ください。
Q3. 痛みはどのくらい我慢しても良いですか?
A.1週間以上続く痛みや、日ごとに悪化する場合は早めの受診を。無理に我慢せず相談してくだ
さい。
Q. 矯正用ワックスはどこで買えますか?
A. ドラッグストアやネット通販で購入可能です。通院中の医院で取り扱っている場合もありま
すので、まずはお問い合わせください。
Q5. マウスピース型矯正ならワイヤーが当たることはない?
A. ワイヤーは使わないため刺さる痛みは少ないですが、アタッチメントや装置の縁が粘膜に当
たることも。矯正装置の選択はお口の状態によりますので、担当医と相談しましょう。
まとめ

ワイヤー矯正中に舌や頬に装置が当たって痛むときは、来院して処置を受けるのがベスト。
すぐの来院が難しい場合は、矯正用ワックスなどでの応急対応が効果的です。
多くのケースでは、ワイヤーの調整やワックスの使用で症状は軽減しますが、痛みを我慢すると口内炎の悪化や虫歯・歯周病のリスクにつながることも。
強い痛みや出血、装置の不具合はもちろん、「少し気になる」程度でも、早めの対応が大切です。
また、当院ではお電話に加え、お口の写真を送っていただければより的確なアドバイスも可能です。
矯正期間を少しでも快適に過ごせるよう、東京 重洲キュア矯正⻭科がしっかりサポートしますので、いつでもお気軽にご相談ください。





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