投稿日：2024.11.19

歯科矯正用アンカースクリューはどこに設置する の？治療効果と期間について解説

矯正治療には歯並びの症例に合わせてさまざまな補助的装置が使われることがあります。
「歯科矯正用アンカースクリュー」もその一つで顎に医療用のネジのことをいいます。
今まで「ヘッドギア」と呼ばれる取り外し可能な頭に付ける装置の変わりとなり現在では積
極的に採用されています。
しかし実際に矯正治療中に「顎にネジを埋める」といわれてもピンときませんよね。
今回は歯科矯正用アンカースクリューについて「どこに設置するのか」「治療効果と期間」
について解説していきたいと思います。

 

歯科矯正用アンカースクリューとは

歯科矯正用アンカースクリューとは直径約1.5mm長さ6～10mmの小さなネジです。
生体親和性の高いチタンを使用しているため拒否反応も出づらく金属アレルギーの心配も少
ないため顎の骨に設置しても問題ない材質となっています。
このネジを顎に埋め込み支点とすることで難しい歯並びも外科手術や取り外しの装着を使わ
ず治療が可能になるのです。またインプラント矯正と聞いたことがある人も居るかもしれませんがこの歯科矯正用アンカ
ースクリューを用いた治療のことをいいます。

歯科矯正用アンカースクリューの5つの治療効果

歯科矯正用アンカースクリューを用いた矯正の治療効果について説明していきたいと思いま
す。

動かしたい歯だけ動かせる

アンカースクリューを支点とすることで動かしたい歯だけに矯正力を加え動かすことが可能
になります。
例えば抜歯したケースを従来の方法で動かそうとして奥歯を固定源とし前歯を引っ込めよう
としてもお互いに引っ張り合ってしまい奥歯も前歯も動いてしまうことがあります。
その場合奥歯に設置することで奥歯と引き合うことなく前歯を後方に動かせるのです。

治療期間の短縮

アンカースクリューを使用することで各段に矯正する期間を短くすることが可能になります
。
奥歯を固定源にすると奥歯を牽引しないようにするため前歯を一気に動かすことが難しく
1、2本ずつ徐々に動かすことしかできないのですが、ネジは顎に固定されているため前歯
を一気に動かすことが可能になり治療の効率が上がり期間も短くなるのです。

非抜歯矯正が適応になる

アンカースクリューを使用すると非抜歯で矯正ができるかもしれません。
抜歯してスペースを作らないといけない歯並びもネジを支点とすることで奥歯を奥に移動さ
せスペースを確保することができ抜歯せずに済むことがあります。
歯を動かすのに従来の治療で移動させることも不可能ではないですが、アンカースクリュー
を使用したケースと移動できる距離が異なるのです。

難しい症例にも対応

難しい症例にもアンカースクリューを用いることで対応できるようになりました。
従来であれば取り外しが必要な装置を装着（ヘッドギアなど）しなければならないような症
例や出っ歯を含めた牽引の力がかなり必要な凸凹している歯並びもアンカースクリューを使
用することで柔軟かつ効率よく動かし歯並びを改善できます。

外科矯正を避けられる可能性が高くなる

出っ歯や受け口などの外科矯正が必要な歯並びもアンカースクリューを用いることで手術を
避けられる可能性が高くなります。
また手術が必要なガミースマイルも前歯にネジを設置することで前歯を根っこ側に移動がで
き手術しなくてもよくなるケースがあります。
アンカースクリューを使用する、しないで適応できる症例が大いに変わるのです。

歯科矯正用アンカースクリューを埋め込む場所

アンカースクリューを設置する場所は動かしたい歯によって変わります。
よく選択される設置箇所は以下のとおりです。
・奥歯

・前歯
・上あごの裏側（口蓋）
・奥歯の後方
・片側のみ
・下あご
など歯並びによってさまざまです。
また骨があればどこにでも設置することができます。
もし使用する方が効果的だと判断した場合は必ずお伝えしますので気になることがあれば遠
慮なくおっしゃってくださいね。

歯科矯正用アンカースクリューの治療の流れ

あごにネジを埋め込むと聞くと「痛いのでは？」と不安になりますよね。
ここではアンカースクリュー矯正の治療の流れについて解説していきます。

歯科矯正用アンカースクリューの設置

アンカースクリューの設置は電動トルクドライバーを使用しておこないます。
手順は以下のとおりです。
①設置個所のレントゲン撮影（必要であれば）
②局所麻酔（少量）
③電動トルクドライバーにて設置
使用するドライバーは手動ドライバーとは違いブレないため手術中は痛みを感じにくいでし
ょう。
また設置個所も骨のため術後もほとんど痛みがありません。
術後は抗生剤と痛み止めを飲んでいただき様子をみます。

歯科矯正用アンカースクリューの活用

設置してから約1～2ヵ月後にパワーチェーンと呼ばれるゴムなどを使用して歯に牽引力を
かけていきます。

歯科矯正用アンカースクリューの除去

矯正終了後、または目的の歯を動かし終えるとアンカースクリューを除去します。
表面麻酔のみでほとんど痛みなく除去することが可能です。

さらに除去後の傷は約1～3ヵ月ほどで骨も元通りに戻っているため予後の心配は必要あり
ません。

歯科矯正用アンカースクリューの注意点

設置後の注意点について説明していきます。

脱落することがある

生体親和性の高いチタンを使用していますが、骨の状態だったり長さが足りなかったりする
と脱落してしまうことがあるでしょう。
また清掃状態によっては炎症を起こし脱落してしまうこともあります。
脱落してしまった場合は少し位置を変えて再度設置します。

痛みや炎症

アンカースクリューを設置後少し痛みが出る場合があります。
また周囲は汚れが溜まりやすく炎症が起きて痛むこともあるため、軽く歯ブラシを当てたり
洗口したりして清潔に保つ必要があるでしょう。

歯根を傷つけてしまうことがある

設置位置を誤ってしまうと歯根を傷つけてしまうことがあります。
アンカースクリューを扱うのにも知識や技術が必要な処置といえるでしょう。
当院の歯科医師は知識と経験が豊富なため安心して任せてくださいね。

喫煙や全身疾患

喫煙状況や全身疾患によってはアンカースクリューを設置できないケースがあるでしょう。
例えば喫煙していると傷の治りが悪く骨と定着しない可能性があります。
また血をサラサラにするお薬を服用されている方や骨粗相症の方は定着しないことも懸念さ
れます。
ただしご自身で全身疾患をコントロールできている方は問題ないときもあるため現在の状況
をお知らせください。

歯科矯正用アンカースクリューはいつまで付けるの？

 

アンカースクリューの設置期間についてお伝えします。
歯科医師によって違いますが、動かしたい歯を動かしきった後、または矯正治療が終了し保
定期間に入る前まで設置していることもあります。
保定装置が入る頃には必ず除去していますので永久的に設置するものではありません。

まとめ

歯科矯正用アンカースクリューは矯正の治療効率や症例の幅を広げるのにとても役立つ治療
法です。
医療用チタンを使用しているネジのため顎に設置しても問題はありません。
むしろ外科矯正が必要であったりワイヤー矯正のみでしかできなかったりする複雑な歯並び
でもアンカースクリューを使用することで適応症例の幅が増え、さらに歯を並べるのにかか
る期間が短くなるでしょう。
またワイヤー矯正やマウスピース矯正など、どの治療でも活用することができます。
アンカースクリューが必要かどうかやご自身の歯並びに適した歯列矯正は精密検査したあと
に提案しますので、気になることや不安なことがあれば気軽に当院に相談してくださいね。

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