投稿日:2024.11.15
受け口のリスクはつばを飲み込むときにも起こる?
受け口は、審美的にコンプレックスを抱きやすい口元ですが、日常生活の色々な不具合につながってしまいます。
あまり意識をせずにつばを飲み込んでいますが、受け口の方の場合にはつばを飲み込む時にも機能的に負担がかかることがあります。
1日に何回もつばを飲み込むため、トラブルにつながってしまうことも。
そこで今回は、受け口だとつばを飲み込む時にもリスクがあるかについてご紹介します。
目次
受け口の特徴
正しい噛み合わせは、上の歯が下の歯を覆っている状態ですが、受け口の場合には、下の歯が上の歯を覆っています。
歯並びの傾きなどが原因の場合と骨格のアンバランスさが原因のことがあります。
口元にコンプレックスを抱きやすく、審美的に気になることが多い歯並びです。
また、噛み合わせのバランスも崩れているため、機能的にもさまざまなデメリットがあります。
正しい舌の位置と飲み込み方とは?
正しい舌の位置
正しい舌の位置は、安静にしている時に上顎のポコッと出ている部分に軽く触れている状態です。
この位置についておらず、舌が下がっていると歯を押してしまい、歯並びの不正につながる場合があります。
口を開けて舌を見た時に、歯の形になっているケースは舌が下がっています。(低舌位)
舌は筋肉でできているため、いつも下がった状態だと筋力が低下します。
そうすると、舌の動きが悪くなり、滑舌に影響が出ることもあります。
舌や頬、唇からかかる力は強い力ではありませんが、毎日継続して力がかかり続けると歯並びの不正につながります。
低舌位の可能性がある状態
・口呼吸をしている
通常は鼻で呼吸をする状態が正しいのですが、低舌位の場合には舌が下がっているため、口呼吸になりやすくなってしまいます。
舌の筋力が低下しているため、口が開いた状態になりやすいためです。
・舌足らず
低舌位の場合、舌の筋力が低下するため、舌の動きが悪くなってしまいます。
そうすると、滑舌が悪くなってしまい、舌足らずな印象になることがあります。
・食事中に音がする
食事をしている時は口を閉じて噛みますが、低舌位の場合、噛んでいる時に口は開いてしまうことがあるため、くちゃくちゃ音がする場合があります。
正しい飲み込み方
正しい飲み込み方は、舌の位置が上顎の出ている部分についていることが大切です。
その状態で口が軽く閉じており、飲み込む瞬間は奥歯が噛んでいます。
口周りに筋肉は適度にリラックスしている状態が理想的です。
下顎の部分にしわが出来ている時には、力が入り過ぎているため、リラックスして噛むようにしましょう。
受け口でつばを飲み込む時のリスク
・飲み込みにくさ
受け口は、下の歯が前に出ている状態のため、噛み合わせのバランスが崩れています。
また、下の歯が前に出ている分、舌の位置が前に出やすいため、上顎の正しい位置につきにくくなります。
そうすると、舌が下がってしまい、前歯を押しやすくなってしまい、正しい飲み込み方で飲み込みにくくなってしまうのです。
・誤嚥のリスク
正しい舌の位置についていない場合、舌で前歯を押したり、舌を前方に出したりしながら
飲み込みやすくなります。
この飲み込み方は、赤ちゃんの時におっぱいを吸うときに見られる状態です。
この飲み込み方を続けていると、歯並びが悪くなるだけでなく、誤嚥の可能性があります。
受け口のそのほかの問題
・発音への影響
受け口の方は、前歯の噛み合わせのバランスが悪くきちんと噛んでいないケースが多くなります。
そうすると、空気が抜けやすく「サ行」や「タ行」が発音しにくくなります。
・口内環境の問題
受け口は、前歯が噛み合わないため、お口の中が乾燥しやすくなります。
唾液には、細菌を洗い流す作用や再石灰化を促す働きがあるため、お口の中が乾燥すると、むし歯や歯周病のリスクが高くなります。
また、ウイルスなどを吸い込みやすくなるため、風邪などの感染症のリスクも高くなります。
・将来的に歯の寿命を縮めてしまう可能性がある
受け口の場合には、前歯がしっかり噛み合わせていないため、奥歯に負担がかかりやすい歯並びです。
歯には1本1本役割があるため、前歯がきちんと噛んでいないとほかの歯が強く当たったり負担がかかったりします。
そうすると、歯のすり減りや破折などのリスクも高くなりますが、歯周病が悪化するリスクも増えます。
歯周病は歯垢の中にひそんでいる歯周病菌が炎症を引き起こす疾患ですが、強く噛み合わせると、歯周病が悪化しやすくなります。
・口元の審美性に影響がある
受け口の相談をされる方は、見た目がコンプレックスになって改善したいと考えている方が多いです。
下顎がしゃくれているなど、口元の見た目が気になる方が多いでしょう。
・顎関節症のリスクが高くなる
受け口は、奥歯に負担がかかりやすいですが、顎にも悪影響がでやすい歯並びです。
そうすると、顎関節症のリスクが高くなります。
顎に負担がかかり続けると、朝起きた時に顎がだるい、口が開きにくい、食事をする時に音がするなどの症状が出てくる場合があります。
この場合、顎関節症の可能性があるため、一度受診することをおすすめします。
受け口の治療とは?
受け口の治療は矯正治療が必要になります。
症状に応じて、歯並びだけで改善できる場合と骨格のバランスを整えた上で治療が必要なケースがあります。
骨格性の受け口の場合は外科矯正が検討されることもあります。
そのため、顎の成長が続いている永久歯が生え揃う前に矯正を行うと、顎の成長を味方につけた矯正治療ができます。
顎のアンバランスさを矯正しながら、永久歯が正しい位置に生えてくるように促すことで歯並びを整えます。
・ワイヤー矯正
ワイヤー矯正は、歯の表面にブラケットという装置をつけて、ワイヤーを通し、適切な力をかけて歯を動かす方法です。
幅広い歯並びに対応しているため、大きく歯を動かす必要があるケースでも適用になることが多くなります。
・表側矯正
歯の表側にブラケット装置をつけて、歯を動かす方法です。
従来は金属の装置が主流だったため、矯正装置の見た目が気になることはありましたが、白や透明の審美ワイヤーや審美ブラケットを選択できるようになって、矯正中の見た目が改善されつつあります。
・裏側矯正(舌側矯正)
歯の裏側に装置をつける方法のため、矯正装置がほとんど見えにくい治療法です。
矯正中の装置の見た目が気になって、迷っている方におすすめしています。
ただし、歯の裏側に装置をつけるため難易度が高く、歯科医師の技術力や経験が必要です。
そのため、治療ができるクリニックが限られてきます。
・マウスピース型矯正
マウスピース型矯正は、患者さまのお口にぴったり合ったマウスピースを作製し、段階的
に形の違うマウスピースに交換することで歯並びを動かす方法です。
透明のマウスピースを使用するため、周りの方にマウスピースをしていることが分かりにくい方法です。
取り外しができるため、食事や歯磨きを今まで通り行うことが可能です。
その分自己管理が必要な治療法で、1日20~22時間の装着が必要になります。
そのため、食事の後などに外している時間が長くなってしまうと治療計画通りの効果が得
られない場合があります。
・外科矯正
骨格性の受け口の場合には、顎の骨のバランスを整えてから矯正治療が必要な外科矯正もあります。
顎の骨が切除してバランスを整えるため、外科手術の際には入院が必要です。
また、外科手術の前後で矯正治療が必要なため、治療期間が長い傾向になります。
【まとめ】
日常の何気ないくせでも、継続して行っていると歯並びの不正につながることがあります。
歯並びが悪くなる悪習癖は、矯正をした時にも後戻りの原因になるため、早めに改善することが大切です。
歯並びが気になる時や気になるくせが改善できない場合には、お気軽にご相談ください。