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投稿日:2025.8.12

噛み合わせが深い(過蓋咬合)の原因と治し方

噛み合わせが深い、いわゆる「過蓋咬合(かがいこうごう)」は、口の中で起こる見えにくい問題の一つです。

この状態は単に見た目の問題だけでなく、歯や顎、さらには体全体にまで影響を及ぼすことがあります。

例えば、歯や顎に余計な負担がかかり、顎関節症や肩こり、歯の摩耗が進む原因となることも少なくありません。
さらに、過蓋咬合を放置してしまうと、症状が進行し、日常生活に支障をきたす可能性もあります。

しかし、適切な治療を受ければ多くの場合で改善が可能です。

この記事では、過蓋咬合の原因や症状、そして治療法について分かりやすく解説していきます。

過蓋咬合とは?

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過蓋咬合(かがいこうごう)とは、上の前歯が下の前歯を覆いすぎている状態を指します。

通常、上の前歯が下の前歯を少しだけ覆うのが理想的な噛み合わせです。

しかし、過蓋咬合ではそのバランスが崩れ、上下の前歯を噛み合わせたときに、下の前歯がほとんど見えなくなってしまいます。
この状態には軽いものから重いものまでさまざまな程度があります。

症状がひどくなると、噛む力が特定の歯や歯茎に集中してしまい、歯や顎に負担がかかります。

その結果、歯茎が痛んだり、顎の関節に問題が生じて口の開け閉めが難しくなることもあります。
過蓋咬合は一見しただけでは分かりにくい場合も多いため、専門の歯科医師による診察を受けることが大切です。

早めに対処することで、症状が進むのを防ぎ、噛み合わせや健康を守ることができます。

過蓋咬合の原因

過蓋咬合が起こる原因は大きく分けて「遺伝的要因」と「習慣的要因」の2つに分けられます。

遺伝的要因

 

過蓋咬合は、親から受け継いだ骨格や歯の配列が影響することがあります。

特に、上顎が発達しすぎている場合や下顎が小さい場合は、過蓋咬合が起こりやすくなります。また、歯の大きさや顎の形状のバランスが合わない場合も、噛み合わせの問題につながることがあります。

習慣的要因

幼少期の習慣や癖が原因となるケースもあります。

たとえば、指しゃぶりや舌を前に押し出す癖(舌突出癖)、口呼吸などの習慣は、歯並びや噛み合わせに悪影響を与えることがあります。

これらの習慣が続くと、成長過程で顎や歯列に負担がかかり、過蓋咬合を引き起こす原因となります。
また、成長過程で顎の成長バランスが崩れることも過蓋咬合の原因です。

例えば、顎の発達が不十分だったり、上下の顎の成長速度が異なったりすると、噛み合わせが深くなってしまうことがあります。

過蓋咬合を放置するとどうなる?

健康への影響

噛み合わせが深いと、顎関節に過剰な負担がかかるため、顎関節症を引き起こす可能性があります。

顎関節症では、口を開け閉めする際に音がしたり痛みが生じる、顎の動きがスムーズでなくなるといった症状が現れることがあります。

また、咬筋(噛むときに使う筋肉)が疲労しやすくなり、頭痛や肩こりの原因となることもあります。

口腔内のトラブル

過蓋咬合があると、前歯や歯茎に過剰な力がかかるため、歯茎が傷ついたり炎症を起こしたりすることがあります。

また、下の前歯が上の前歯の裏側に強く当たることで、歯が摩耗したり割れるリスクも高まります。

見た目や発音への影響

過蓋咬合は、見た目に影響を与えることがあります。

笑ったときや話しているときに歯並びが目立ち、コンプレックスを感じる原因となることがあります。

また、噛み合わせが悪いと発音が不明瞭になることもあり、特に「サ行」や「タ行」の発音に影響が出る場合があります。

過蓋咬合の治療法

過蓋咬合は、程度や原因によって最適な治療法が異なります。

軽度のケースでは比較的短期間で改善できる場合もありますが、重度のケースでは複雑な治療が必要となることがあります。

マウスピース矯正

軽度の過蓋咬合には、透明で取り外し可能なマウスピース矯正が効果的です。

この方法では、患者さんそれぞれに専用のマウスピースを作成し、少しずつ歯を動かして噛み合わせを調整します。

見た目が目立たず、取り外しも簡単なため、生活への影響が少ないのがメリットです。

ただし、症状が重い場合や骨格が原因の場合には適用できません。

ワイヤー矯正

中度の過蓋咬合には、ワイヤー矯正が一般的に適用されます。

歯にブラケットを装着し、ワイヤーを通して歯を少しずつ動かすことで、歯並びや噛み合わせを整えます。

この方法は、軽度から中度、さらには重度の症例にも対応できる柔軟性が特徴です。

外科矯正

顎の骨格が過蓋咬合の原因となっている場合には、外科矯正が必要になることがあります。

この治療法では、手術によって上顎や下顎の骨を適切な位置に調整し、その後矯正装置を使って歯並びを仕上げます。

全身麻酔を伴う手術が必要で、治療期間は手術の準備期間を含めて長期間かかる場合があります。

しかし、根本的な改善が期待できるため、骨格の問題が大きい場合には有効な選択肢です。

治療後に期待できる効果

過蓋咬合の治療をすると、見た目や歯の使いやすさだけでなく、体全体の健康にも良い影響がたくさんあります。

まず、噛み合わせが整うことで、しっかり食べ物を噛み砕けるようになります。

これまで硬い食べ物が食べづらかったり、胃が重たく感じたりしていた人も、食べ物をきちんと噛めるようになることで、胃や腸の負担が減り、栄養をしっかり吸収できるようになります。
また、深い噛み合わせは顎に負担をかけて、顎関節症や肩こり、頭痛の原因になることがありますが、治療をすればこれらの症状が和らぐことが期待できます。

噛むたびに感じていた不快感や痛みがなくなり、日常生活がより快適になるでしょう。
見た目の面でも嬉しい変化があります。

過蓋咬合があると歯並びが気になって、人前で話すのをためらったり、笑顔に自信が持てなかったりする人もいますが、治療後には歯並びが整い、笑顔

や会話に対するコンプレックスが軽くなります。自然な笑顔を取り戻せると、コミュニケーションもスムーズになり、自信を持って人と接することができるようになります。
さらに、過蓋咬合を治すことで、発音もしやすくなります。

特に「サ行」や「タ行」が話しづらかった人は、噛み合わせが正しくなることでスムーズに話せるようになり、会話に対するストレスが減ります。

仕事や日常生活でも安心して話せるようになるでしょう。
口の中の健康も大きく改善します。治療をすると、これまで歯や歯茎にかかっていた無理な力が軽減され、歯茎の腫れや痛みが収まりやすくなります。

また、歯並びが良くなることで歯磨きがしやすくなり、虫歯や歯周病のリスクをぐっと減らせます。

結果として、口の中全体を健康に保つことができるようになるのです。
過蓋咬合の治療は、見た目の改善だけでなく、体の調子や毎日の快適さを大きく向上させる効果があります。

歯並びを整えることで得られるメリットはとても大きいと言えるでしょう。

まとめ

過蓋咬合(噛み合わせが深い状態)は、見た目の問題だけでなく、噛む機能や顎の健康、さらには全身の不調にまで影響を及ぼす可能性があります。

放置すると症状が悪化し、顎関節症や歯の摩耗、口腔内のトラブルなどを引き起こすリスクが高まります。

しかし、適切な治療を受けることでこれらの問題は改善可能です。
軽度の過蓋咬合であればマウスピース矯正やワイヤー矯正、中度以上の場合には外科矯正を含む治療が効果的です。

治療を行うことで、噛み合わせが整い、食事や発音がスムーズになるだけでなく、顎や肩の負担が軽減し、全身の健康にも良い影響をもたらします。

また、歯並びが整うことで笑顔や会話に自信が持てるようになり、日常生活の質が大きく向上します。
過蓋咬合は放置すると悪化することが多いため、早期に矯正専門の歯科医師に相談することが重要です。

治療法についてしっかりと説明を受け、自分に合った方法で進めることで、快適で健康的な生活を取り戻すことができます。

もし噛み合わせが気になる場合は、早めに相談してみましょう。

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