投稿日:2024.11.5
歯列矯正で口元を引っ込めたい!メリット・ デメリットとは?
口元がボコっと前に突き出ている状態が、コンプレックスになっている方も少なくありません。
とはいえ「歯列矯正で本当に口元が引っ込むのか不安で治療に一歩踏み出せない…」という方もいると思います。
そこでこの記事では、歯列矯正で口元を引っ込めるメリット・デメリットについて解説します。
歯列矯正の種類や矯正で口元が引っ込みすぎる原因などについてもあわせて紹介。
口元を引っ込めたい方は是非、この記事を参考にしてください。
目次
口元が出ている歯並びとは?
そもそも口元が前に出ている、厚みがあるといった状態は不正咬合(ふせいこうごう)に当てはまります。
不正咬合とは何らかが原因で、噛み合わせの位置がズレている状態のこと。
不正咬合は放置していると、歯の痛みや損傷など将来的に大きな悪影響を受ける可能性があります。
下記からは、口元が前に出ている歯並びの特徴や原因について解説します。
上顎前突(じょうがくぜんとつ)
上顎前突とは上の前歯が歯列より外側に出ている状態のことで、一般的には出っ歯と呼ばれます。
主な原因は次のとおりです。
● 遺伝的要素
● 舌で押す癖(舌癖)や指しゃぶり
● 口呼吸といった悪習癖 など
出っ歯は唇をしっかりと閉じにくく、口内が乾燥するドライマウスになりやすい点が特徴的。
そのため、虫歯や歯周病の他にも、口臭の発症といった悪影響があります。
また、親から子に歯並びが遺伝することもありますが、日常の習慣的な癖が原因で出っ歯になるケースがほとんどです。
反対咬合(はんたいこうごう)
反対咬合とは、下あごが上あごより前に突き出ている状態のことです。
別名「しゃくれ」や「受け口」とも呼ばれる歯並びです。
主な原因は以下のとおりです。
● 舌や猫背の悪癖
● 不均衡な大きさの顎
● 遺伝的要因 など
反対咬合は奥歯への負担が大きく、歯の磨耗や損傷といったトラブルが起きやすい歯並びです。
また猫背は首が前に出る姿勢になるため、下あごが前に突き出る癖がつきやすくなりま
す。
上下顎前突(じょうげがくぜんとつ)
上下顎前突とは、通常の位置より上下のあごが前に突出している状態のこと。別名「口ゴボ」とも呼ばれています。主な原因は次のとおりです。
● 指しゃぶりや舌で歯を押す悪習癖
● 長期的な口呼吸
● 上下の骨格の不均衡 など
上下顎前突は上下の歯やあごが外側に出ているため、口元に厚みや丸みが出やすい歯並びで
す。
叢生(そうせい)
叢生は、歯があちこちな方向に生えている状態です。八重歯や乱杭歯(らんくいば)も叢生の一種になります。
主な原因は以下のとおりです。
● 乳歯の虫歯
● 不十分な顎の成長
● 遺伝的要素 など
叢生はいろんな方向に歯が生えているため、膨らんだ口元になる傾向があります。特に、八
重歯は上あごの高い位置に生えていて、唇を閉じた時に猿のような口元になりやすいです。
歯列矯正で口元を引っ込める6つのメリット
歯列矯正は口元を引っ込めて、理想的な口元を実現できます。口元を引っ込めると、次の6つのメリットが考えられます。
Eラインが整う
口元の膨らみは、正面より横から見るEラインが強調されやすいです。
Eラインとは、鼻先とあご先を結んだ直線のこと。
日本人の場合は口先がEラインに触れる位置や少し後方側にあると、美しい横顔と言われています。
歯列矯正ではEラインを整えて、スッキリとした口元に仕上げられます。
コンプレックスの解消
前に突き出ている口元がコンプレックスで、劣等感を抱く方も少なくありません。
歯列矯正で口元の出っ張りを改善すると、コンプレックスから解放されて自分に自信が持てるようになる傾向です。
会話を楽しめる
口元に厚みのある歯並びは、発音にも影響を与えます。たとえば、出っ歯や受け口の場合は
唇をしっかりと閉じられず言葉を正確に発音しにくいことも。
その結果、会話が苦手になっている方も少なくありません。唇がしっかりと閉じられる口元
になると、ハッキリと発音できるため会話を楽しめるようになります。
消化器官の負担が軽減
歯列矯正で口元をスッキリすることは身体にも良い影響を与えます。
たとえば噛み合わせが正しい位置になると、しっかりと咀嚼できるようになります。
食べ物を細かい状態で胃に運べるため、消化器官の負担が軽減されます。
虫歯や歯周病のリスク
歯やあごが出ている口元は唇の閉鎖力が弱く、口内が乾燥しやすい状態です。
口内が乾燥しやすいと、細菌が繁殖して虫歯や歯周病のリスクが高まります。
唇を隙間なく閉じられると、口内が唾液で潤されるため細菌繁殖を防ぐ効果が期待できます。
その結果、虫歯や歯周病のリスクが低下します。
顎関節症の改善
口元が突き出る歯並びは、顎関節症を引き起こす可能性があります。
顎関節症とは、何らかが原因で顎関節や筋肉にダメージが出て口が開けにくい、開閉時に痛みがある等の症状が出ること。
歯列矯正は噛み合わせを正しい位置にして、口周りの筋肉のバランスが整えられます。
顎関節や筋肉への負担が軽減されて、顎関節症の改善にも繋がります。
歯列矯正で口元を引っ込める4つのデメリット
歯列矯正で口元を引っ込める場合には、以下4つのデメリットがあることを知っておきましょう。
● 治療費がかかる
● 一時的な痛みや発音障害
● 治療期間が長い
● 外科手術が必要になる可能性
それぞれのデメリットについて解説します。
治療費がかかる
基本的に歯列矯正は、自費診療になり治療費が負担と感じる方も少なくありません。
特に、歯列矯正の中でも裏側矯正(舌側矯正)は装置をオーダーメイドで作成する必要や高度な技術が必須なため、治療費を高めに設定している歯科医院が多い傾向です。
ただし、歯列矯正は下記の条件を満たすことで保険治療の対象になります。
● 先天性の疾患がある(顎・口腔系)
● 顎変形症の治療として歯列矯正を行う
● 前歯の永久歯が3歯以上生えてこない永久歯萌出不全の咬合異常
上記の条件に加えて、歯列矯正を保険治療で行うには厚生労働省が認可している医療機関で
治療を受ける必要があります。
一時的な痛みや発音障害
歯列矯正は歯を動かしている時に、痛みを感じやすいです。
特に、矯正開始後や装置の調整後には痛みを感じやすい傾向です。
人によって痛みの感じかたは様々ですが、痛みのピークは1〜3日でその後は徐々に落ち着いてくるケースがほとんどです。
また、矯正中は装置の種類によって今までと同じような発音をするのが難しいことがあります。
しかし、装置が付いている状態に慣れて、今までと同じように会話できる方がほとんどです。
治療期間が長い
歯列矯正で歯が動く距離は、1ヶ月で0.3〜0.5mmほどです。
そのため、歯列全体を整える場合には2〜3年の治療期間が必要になります。
近年では、矯正用アンカースクリューやセルフライゲーションシステムを活用することで、治療期間の短縮が可能です。
なお、当院では矯正用アンカースクリューとセルフライゲーションシステムの両方を取り入れています。
外科手術が必要になる可能性
口元が前に出ている原因が歯ではなく、骨格に問題がある場合は外科手術が必要になることがあります。
歯並びの状態や外科手術の方法によっては、全身麻酔をするケースもあり身体的負担が大きくなりやすいでしょう。
口元を引っ込める歯列矯正の種類
口元を引っ込めることができる歯列矯正は、大きく分けて次の3つがあります。
それぞれの特徴について詳しく紹介します。
ワイヤー矯正
ワイヤー矯正とは、歯の1本1本にブラケットという器具を装着した上にワイヤーで引っ張って、歯を動かす方法のことです。歯列矯正の中でもスタンダードな治療法で、幅広い歯並びに対応できる点が特徴です。
歯に装置を固定しているため、食べ物のかすが溜まりやすく歯磨きが難しい点がデメリット。
また、ワイヤー矯正には以下のような3つの装置があり、歯並びの状態やライフスタイルによって治療する装置を決めるのがおすすめです。
それぞれのワイヤー矯正装置の特徴を、下記から紹介していきます。
表側矯正
表側矯正は、歯の表側にブラケットやワイヤー装置を付けて歯を動かす治療法です。歯の表
側に装置を付けるため装置が目立ちやすいですが、白や透明のブラケット、ホワイトワイヤ
ーに変更すると目立ちにくくできます。平均的な矯正期間は、1年〜3年です。
裏側矯正(舌側矯正)
裏側矯正は、上下の歯の内側にブラケットやワイヤー装置を付けて歯並びを整える方法です。
歯の内側に装置を付けることで、装置がほとんど目立ちません。
矯正していることが、周囲から気づかれにくい矯正装置です。
また、口元が前に出ている場合には裏側矯正が適しています。
歯には装置が付いている方向に動きやすいという性質があり、内側に引っ張る力に効果的なからです。
そのため、症例の難易度によっては治療期間の短縮や早期の見た目の変化が期待できます。
ハーフリンガル矯正
ハーフリンガル矯正とは、上あごは歯の内側に下あごは表側にブラケットやワイヤー装置を付けて、歯を移動させる治療法です。
下あごに付けた装置は、唇で覆われるため目立ちにくいですが、大きく口を開けたり「イ」と唇が広がる形になったりすると装置が見えることがあります。
ハーフリンガル装置は片あごだけに付けるため、裏側矯正より費用を抑えられます。
マウスピース型矯正
マウスピース型矯正は、形が少しずつズレたマウスピースを交換しながら歯並びをキレイにする治療法です。
透明なマウスピースは装着してても目立ちにくく、他人から矯正していることが気づかれにくい点が特徴。
またマウスピースは歯磨きや食事の際には取り外しが可能で、今までと同じような食事や歯磨きケアができます。
ただし、マウスピース型矯正は自己管理が必須。
1日に20時間以上の装着や1〜2週間の間隔でマウスピースの交換といった、指示が守れない場合には計画通りに歯が動かず、治療期間が延長になることも少なくありません。
加えて、重度の出っ歯や受け口の場合にはマウスピース型矯正ができないと判断する歯科医院もあります。
歯科医院で使用しているマウスピース型矯正システムや歯科医師の技術力が関係するためです。
外科的矯正
口元の出っ張りの原因が骨格にある場合は、外科的矯正が必要になるケースも少なくありません。
外科的矯正とは、あごの一部を切り取って正しい位置に動かす処置と矯正装置を組み合わせることで、噛み合わせや見た目を早期に改善する治療法です。
手術で骨格の位置を変えるため、自身の理想とする口元を実現できます。
なお、当院では外科処置を行った後、矯正装置で歯並びを整えるサージェリーファーストという方法を取り入れています。
歯列矯正は口元を引っ込みすぎる?
「歯列矯正で口元を引き込みすぎて、顔が変になった…」という情報を、目にしたことがある方もいると思います。
歯列矯正は口元の突出感が改善するいっぽうで、引っ込みすぎて顔が変わったというケースもあります。
特に口元が引っ込みすぎると、以下のような顔の変化を感じる傾向です。
● 鼻の下が長くなる
● ほうれい線が濃くなり老けて見える
上記のような顔の変化は、歯列矯正の治療計画が適切でなかった可能性が高いです。
たとえば、前に出ている口元を引っ込める手段として抜歯を行い、歯を並べるスペースを確保します。
しかし前歯が大きく下がりすぎて、口元が引っ込みすぎる状態になることも。
そのためしっかりと診査・診断をし、適切な治療計画を立案してくれる歯科医院で治療を受けるようにしましょう。
また、人によって口元の好みはさまざまです。事前に歯並びの仕上がりのイメージを担当医に伝えておくと、治療のゴールのずれが発生しにくくなります。
まとめ
歯列矯正は口元の突出感を改善して、理想的な口元を実現できます。ただし治療が適切でなかった場合には、口元が引っ込みすぎるトラブルが起きる可能性も否定できません。
歯列矯正をしたことを後悔しないためにも、矯正治療をする歯科医院は妥協せずに選びましょう。
なお、当院では実績や経験豊富な矯正専門の歯科医師が治療を行います。
またデジタルシミュレーションを駆使し、治療過程や最終的な歯並びの状態を確認できるため、安心して治療を受けられるようになっています。
口元の突出感が気になる方は、お気軽にご相談ください。