矯正治療を反対された方・
反対されている方へ
矯正治療を望んでいる患者さまの中には、保護者の方や、配偶者などの周囲から反対されて治療を始めることができないという方が少なからずいらっしゃいます。矯正治療は高額であるため、金銭面から反対される場合もありますし、矯正治療が健康に影響を及ぼすのではないかと反対されることもあるようです。
こちらのページでは、矯正治療を必要としている方が望んだ治療を受けられるよう、矯正治療の基本的な事項について改めてご紹介していきます。
目次
矯正治療の目的は
見た目だけではありません
近年では歯並びの問題が広く知られるようになってきており、保護者の方で自分の子供の歯並びを気にかける人も増えてきています。ただ矯正治療は「見た目を治すだけ」と考えている方もまだいらっしゃいます。そうした方々を説得するためには、矯正治療の目的や効果について正しく知ってもらうことが有効かもしれません。
矯正治療の目的・効果
- 歯・口元の審美面における改善
- かみ合わせと顎関節の調和
- 虫歯・歯周病などの歯科疾患の予防
- 咀嚼機能(食べ物をかんで飲み込む機能)の改善
- 口唇閉鎖不全や口呼吸の改善
- 発音の改善
- 機能面・審美面改善による心理的効果
- (成長期のお子さまの場合)顎の成長発達障害への予防
上記の様に矯正治療には審美面でのメリットはもちろんのこと、機能面に対する効果も大きく、さらには審美面・機能面のメリットが心理面にも影響を及ぼすことが多くあります。
機能面での改善
矯正治療の目的については様々ありますが、「機能面の改善」は重要です。主に「かみ合わせ」を整えていくことを指しますが、かみ合わせが整うことで、顎関節への負担が減る、咀嚼が正しくできるようになるといった良い影響があります。
またかみ合わせと同時に、頭部に対する口元のバランスを整えることによって、口を閉じることができるようになる(口唇閉鎖不全の改善)、口呼吸も改善される、といった波及効果もあります。
発音や滑舌については、様々な要因が関連していることがありますが、かみ合わせが関係している場合には改善が見られることもあります。口唇閉鎖不全や滑舌・発音はかみ合わせ以外の問題が影響していることもあります。
審美面の改善
機能面を改善するということは、自然と審美面での改善にもつながります。「審美面の改善」とは歯並びをきれいに整えたり、出っ歯や受け口など口元の見た目を改善することを指します。「審美面」に関しては「見た目でしょ?」といなされやすいのですが、ガタガタした歯並びや前に出た口元は機能面でも何かしらの問題を抱えている場合が多くあります。
一方、歯並びはきれいでも、出っ歯や受け口、ディープバイト(過蓋咬合)、オープンバイト(開咬)などの咬合面での問題(不正咬合)で悩んでいる方もいます。
矯正治療が「機能面の改善も目的としている」という理解がない場合、「歯並びはきれいなんだから…」と言われてしまう場合もあります。
かみ合わせに悩んでいる人にしか分からない「つらさ」
「歯並び」と「かみ合わせ」は密接に関係していますが、同じものではありません。歯がきれいに並んでいても、不正咬合の方は機能面での問題を抱えています。
不正咬合・かみ合わせの悪さが引き起こす問題
- 前歯がかみ合わず、食事の際に食べ物をかみ切れない
- 奥歯でものをかめない
- 口呼吸になる
- 顎や顎関節に負担がかかる
- 発音がうまくできない
- かみ締めることができず、運動能力やバランス感覚に影響がでる
- 集中力に影響が出る
不正咬合が引き起こす問題にはさまざまなものがあり、上に挙げたものがさらなる問題を引き起こすこともあります。かみ合わせに問題のない人には理解がなかなか難しいかもしれませんが、毎日毎日これらの問題に悩まされていたら…。普段の生活に支障がでてきてもおかしくありません。
矯正治療がもたらす
心理面への良い影響
一方で「見た目でしょ…」とあしらわれてしまう「歯並び」の悪さも、それで悩んでいる方々にとっては重大なことです。
歯並びの悪さに伴う悩み
- 歯並びの悪さを指摘される
- 歯並びが悪いため口元を隠す、口をあけて笑えない
- 口元の見た目が気になる
- 歯並びの印象からだらしないと思われやすい
- 自分に自信が持てない
歯並びが悪くても気にしない方は気にしませんが、幸か不幸か国内でも歯並びに対する意識が高まっており、歯並びの乱れはどうしても人の目につくようになってきました。それに従って、歯並びで悩んでいる方々は周りの目にされされ、心理的に辛い思いをしていることが多くあります。
このような方々にとって、矯正治療で歯並びや口元が改善することは、自分に自信を取り戻し、日々を生き生きと過ごすためのきっかけとなる場合が多く、これは矯正治療が持つ特徴と言ってもいいでしょう。
矯正治療のしくみ
上記で挙げたような問題を間接的に改善するのが歯列矯正ですが、それはどういった治療なのでしょうか?
「人為的に歯並びを変化させる」という点に抵抗を覚える方もいるのですが、矯正治療は体のメカニズムを利用した体への負担が少ない治療方法です。
骨代謝を利用した
歯の動き
「硬い」というイメージの骨ですが、実は他の器官と同じように新しい組織へと常に生まれ変わっています。これは骨の新陳代謝、「骨代謝」と呼ばれており、矯正治療はこの仕組みを利用して歯を動かしています。骨の組織が生まれ変わるには、古い骨の組織を壊し、新しい組織を形成していく必要がありますが、それを担うのが破骨細胞(はこつさいぼう)と骨芽細胞(こつがさいぼう)という細胞です。破骨細胞は骨を吸収し、骨芽細胞とは新しく骨を形成していく役割を担います。
ここで歯の周囲の組織についてみていきましょう。歯の根は歯根膜という薄い組織に覆われ、歯槽骨と呼ばれる骨によって支えられています。矯正装置によって、歯に圧力がかかると、力の方向に対して、手前ではこの歯根膜が引っ張られますが、反対側の側面では歯槽骨の壁に押し付けられる形で圧迫されます。
歯周辺の組織がこの状態になったとき、歯根膜が引っ張られている方には骨芽細胞(こつがさいぼう)が、歯根膜が圧迫されている方には破骨細胞(はこつさいぼう)が働き始めます。このふたつの細胞の働きですが、骨芽細胞は骨を作り、破骨細胞は骨を吸収するので、歯が収まっている歯槽骨の"窪み"が力の作用する方向へ移動していきます。
骨が収まっているスペースが移動するということは「歯」自体も移動するということです。矯正治療ではこのような仕組みを用いて歯を動かしているのです。
矯正治療のリスク
ただ、矯正治療において歯に強い力をかけすぎたり、ジグリング(ごますり運動)と呼ばれる歯の動かし方を繰り返した場合、歯根吸収と呼ばれるリスクを伴います。歯根吸収は歯の根の先端が吸収され、歯の根が短くなってしまう現象をいいます。どのような矯正治療にも歯根吸収のリスクは伴いますが、東京八重洲矯正歯科では、歯根部分までを把握した 3DCT による検査、そのデータを元にした治療計画で歯の動きをコントロールし、リスク管理を行っています。
周囲の人に矯正治療を
理解してもらうには
日本の保険システム、特に歯科における保険診療は、最低限必要な治療に限られています。そのため矯正治療は多くの場合保険の適用外となります。そのためにどうしても治療費の負担が大きくなり、治療を始めるにも周囲の理解がかかせません。
ただ、矯正治療は歯並びやかみ合わせで悩んでいる患者さまにとって意味のある治療です。近年では歯のケアが将来の健康や寿命にまで影響することが一般的にも知られてきており、矯正治療の必要性についても理解のある方が増えてきています。親しい人に自分の矯正治療について理解してもらいたい、という患者さまは、ぜひご自身の辛さ、どうして矯正治療を受けたいのかについて説明することをお勧めします。不正咬合や歯並びの悪さに伴うリスクなどについては、クリニックでもご説明を承りますのでご相談ください。
治療費・料金について
個人や世帯の状況もあるので、金銭的な面で理解が得られない、という場合には難しいですが、デンタルローンなどの支払い方法、医療費控除の申請などのご紹介を当サイトでも行っております。また、東京八重洲矯正歯科ではトータルフィー制度を導入しており、毎回の治療費は料金表に表示された金額に含まれているので、矯正治療にかかる費用についてわかりやすい特徴があります。
未成年・学生の方々へ
無料カウンセリングには保護者の方と一緒に来ていただくことで、矯正治療への理解も得やすくなります。また、大切な話である治療費用に関しても、具体的な金額や支払い方法についてご紹介することができます。
不正咬合や歯並びでお悩みの方は、近しい方と話し合った上で、ご一緒にカウンセリングへおいでください。