投稿日:2024.12.10
叢生(歯の凸凹)は矯正すべき?原因 と治療法について
「歯がデコボコしてるけど矯正治療を受けたほうがいいの?」と気になっていませんか?
歯の重なりや位置異常がみられる状態を専門用語では「叢生(そうせい)」といい、問題のある歯並びの代表としてもよく紹介されます。
放置していい理由は残念ながら存在せず、早めに治療を始めたほうが多くのメリットを得られるのでおすすめです。
こちらのページでは、叢生を放置するリスクや原因、適切な治療法について分かりやすくまとめました。デコボコの歯並びにお悩みの方はぜひご参考ください。
目次
叢生を放置する4つのリスク
叢生を放置するとトラブルに発展し、お口のなかだけでなく全身の健康にも悪い影響を及ぼす可能性があります。
程度は人によってさまざまですが、徐々に悪化することもあるため早めの治療を心がけましょう。
見た目に悪い影響を与える
歯並びがデコボコしていることで、笑ったときの印象が悪くなることがあります。
歯並びが崩れていると顔全体ではなく口元に視線がいってしまうのも、大きなデメリットといえるでしょう。
叢生の一種である「八重歯」は昔は可愛いと言われていましたが、現在は悪い歯並びの代表として取り上げられるケースも少なくありません。
とくに海外ではマイナスな印象が強い傾向にあります。
虫歯や歯周病のリスクが高まる
歯が重なっている部分は、歯ブラシの毛先が歯面にうまく当たらないことで磨き残しがおこりやすい傾向にあります。
虫歯や歯周病につながり、それが悪化すると全身疾患や妊娠トラブルを引き起こす可能性があるので注意が必要です。
段差がうまれる歯と歯の間は磨き残しがおこりやすく1本1本縦に磨く必要がありますが、時間がかかるため実際に続けられる方はそう多くはありません。
歯並びを整えると毛先が歯面にしっかり当たるようになり、磨き残しを大幅に減らすことができます。
外傷性の口内炎ができやすい
歯列からズレている歯があればそれだけ噛むときに唇や舌、頬などの粘膜を巻き込みやすくなります。
噛んだときについた傷が口内炎になるケースも多く、そのせいでさらに歯ブラシを操作しにくくなり磨き残しが増えることもあるので注意しましょう。
一部の歯や顎関節への負担が増える
歯列からズレている歯のなかには、噛む機能が発揮されていないものも存在します。
噛んでいるほかの歯の負担が増えてヒビや破折といったトラブルがおこりやすくなり、噛む位置が悪いため顎関節症のリスクも高めです。
顎関節症は治療が長引く傾向にあるので、負担はさらに大きくなるといえるでしょう。
なぜ叢生になる?考えられる3つの原因
歯並びや噛み合わせが崩れるのにはかならず原因が存在します。正しく理解して予防や悪化防止に役立てましょう。
乳歯の早期喪失や放置
乳歯は、噛む機能だけでなく永久歯が正しい位置に生えるための道標としての役割ももっています。
虫歯や転倒などで生え変わりの時期よりも早く抜けてしまうと、その下に存在する永久歯がズレて生えてしまうことがあり、その現象が叢生を引き起こします。
生え変わりの時期を迎えたのに乳歯が残っている場合も、永久歯がズレて生えてしまいやすいので注意が必要です。
歯に対して顎骨が小さい
顎骨のサイズは「遺伝」や「顎骨の成長具合」によっても左右されます。
顎骨の成長期である6~12歳ごろに柔らかいものばかり食べていると顎骨がうまく成長せずに小さいまま骨が固まってしまうので、小さいお子様がいらっしゃる方はその点にも注意しましょう。
歯が並ぶスペースが不足していると生えるときに重なったり位置異常がおこったりして叢生につながります。
口周りの癖
口周りの癖のなかでも舌で歯を押し出す癖は歯並びの崩れにつながりやすく、舌で前歯全体を押し出していると出っ歯に、一部の歯ばかりを押す癖があるとその歯だけが傾斜して叢生になることがあります。
歯で舌を傷つけることもあるため、早めの改善がおすすめです。
叢生は自然に治る?適切な治療法について
一度崩れた歯並びは、残念ながら自然に治ることはありません。
治すには歯科医院での矯正治療が必要で、骨格に原因がある場合は外科手術をして治すこともあります。
歯科医院での矯正治療は原因が「歯」にある場合にのみ有効です。
ワイヤー矯正(表側矯正)
歯の表面にブラケットとよばれる装置を貼り付けて、ワイヤーを通して行う方法です。
昔ながらのやり方ですが歯を1本1本動かせるため微調整がしやすく、軽度から重度まで幅広く対応できます。
「装置が目立ちやすい」という欠点がありますが、最近は白や透明の装置も増えてきているので昔よりも選択しやすいでしょう。
歯科医院によっては金属製の装置のみ取り扱っている場合もあるため、気になる方は事前にご確認ください。
裏側矯正(舌側矯正)
ワイヤー矯正の一種で、歯の裏面にブラケットとワイヤーをつける方法です。
装置が表側から見えないため、ワイヤー矯正の「装置が目立ちやすい」という欠点を補えます。
装置の見た目が気になるという方にピッタリな治療法といえるでしょう。
デメリットとして、舌が装置にあたることで一時的に滑舌や発音が悪くなることが挙げられます。
また、表側矯正よりも費用が高く設定されているケースがほとんどで、高度な技術が必要なため取り扱っていない歯科医院も少なくありません。
ハーフリンガル矯正
笑ったときに目立ちやすい上顎を裏側矯正(舌側矯正)で、下顎を表側矯正で行う方法です。
装置が目立ちにくく、舌が装置にあたらないため滑舌や発音に支障をきたしにくい傾向にあります。
上下を裏側矯正(舌側矯正)で行うよりも費用を抑えられるという点も、大きなメリットといえるでしょう。
裏側矯正(舌側矯正)と同じく取り扱っていない歯科医院もあるため、気になる方は事前にご確認ください。
マウスピース型矯正
透明なマウスピース型の装置を使用して歯を動かす方法です。
審美性の高さだけでなく、装置の取り外しが可能でお手入れや食事を今までどおり行える点も、人気の理由として挙げられます。
ワイヤー矯正にくらべて磨き残しがおこりにくい分虫歯や歯周病のリスクは低い傾向にありますが、治療法に限らず丁寧なお手入れは必須です。
デメリットとして、歯列全体を覆う装置を使用するため微調整が難しく、場合によっては装置の追加や治療期間の延長が必要になることが挙げられます。
適切な治療法を決定するには精密検査が必須
矯正治療を始める前に行う精密検査は、歯の並びや顎骨の状態を正確に把握するためのものであり、検査なしで治療にすすむことはできません。
主な検査内容は、型取り、顔やお口のなかの写真撮影、レントゲン検査などです。精密検査を受けることで適切な治療法だけでなく正確な治療期間や費用なども明確にできるので、まだ治療をご検討中という方が受けられるケースも少なくありません。
精密検査後は得たデータをもとに治療計画を立案し、患者様にご説明いたします。
内容に同意いただけたら治療にすすむ流れです。
叢生を治してお口の見た目や環境を整えよう
叢生は歯並びや嚙み合わせの崩れの代表といっても過言ではなく、食文化の変化によって昔よりも増えているのが現状です。
放置すると虫歯や歯周病のリスク増加、一部の歯や顎関節の負担増加といったお口トラブルに加えて、全体でバランスよく噛めないことで咀嚼回数が減少し、それにより胃や腸の負担増加や栄養の吸収が悪くなるといったことも発生しやすくなります。
歯科医院で行う矯正治療は原因が「歯」にあるケースを対象としており、遺伝的要素の高い「骨格」に問題がみられるケースは矯正治療とは別に外科手術が必要になることも珍しくありません。
原因を明確にするには精密検査が必須です。
健康で明るい毎日を送るためにも、叢生にお悩みの方は早めの治療をご検討ください。
叢生の治療症例はホームページやインスタグラム、x、TikTokに掲載しているのでご確認ください。